大型で非常に強い台風14号は18日午後7時ごろ、鹿児島市付近に上陸した。気象庁は18日、これまで経験したことのないような大雨になっているとして、宮崎市など宮崎県内12市町村に大雨特別警報を発表した。19日には進路を東に変えて日本列島を縦断。20日にかけて広範囲が大雨や暴風に見舞われそうだ。
17日発表された鹿児島県への暴風、波浪、高潮の特別警報と合わせ、特別警報の対象は2県になった。
台風14号が上陸した午後7時時点の中心気圧は935ヘクトパスカル。中心付近の最大風速は45メートルで最大瞬間風速は65メートル。18日午後9時半時点で、大分県佐伯市蒲江で50・4メートル、鹿児島県屋久島町尾之間で43・5メートルの最大瞬間風速を記録。愛媛県、高知県、佐賀県、熊本県、宮崎県と合わせて7県計17地点で観測史上1位を更新した。
宮崎県では線状降水帯が発生するなどし、記録的な大雨となった。同日午後9時までの24時間降水量は宮崎県美郷町が636・0ミリで最多、次いで同県諸塚村が551・0ミリとなっている。
鹿児島や宮崎、大分各県の一部では避難情報で最も警戒レベルの高い「緊急安全確保」が相次いで出されたほか、九州の広い範囲と四国の一部などで避難指示が出されている。九州電力によると18日午後9時時点で鹿児島県で約12万7千戸、宮崎県で約9万2千戸が停電している。福岡、佐賀、長崎、熊本、大分の各県でも停電が確認されているという。
台風はやや勢力が衰え、同庁は18日午後、九州北部にも発表の可能性があるとしていた台風による特別警報は発表の可能性はなくなったと発表した。ただ、非常に強い勢力を持つ危険な台風だとして注意を緩めないように求めた。
線状降水帯の発生が予想される地域は拡大している。18日までに発表されていた九州地方、四国地方に加え、中国地方、近畿地方でも18日夜から19日にかけて線状降水帯のおそれがあり、発生すれば今後、急激に雨量が増える可能性がある。
台風14号は19日に進路を東へ変える見通しで、風雨の影響は今後、東日本へと広がる。同日午後6時までの24時間の予想降水量は多い所で、四国500ミリ▽九州400ミリ▽東海300ミリ▽中国、近畿250ミリ▽関東甲信200ミリ▽奄美120ミリ▽北海道100ミリ。
東海道新幹線を運行するJR東海が19日夕から名古屋駅―新大阪駅間の運転を取りやめるなど、交通機関への影響も広がりそうだ。
上陸時の中心気圧が低かった過去の台風
(気象庁が統計を開始した1951年から2022年まで)
①925ヘクトパスカル 1961年9月 第二室戸台風、高知県室戸岬
②929ヘクトパスカル 1959年9月 伊勢湾台風、和歌山県潮岬
③930ヘクトパスカル 1993年9月 鹿児島県薩摩半島
④935ヘクトパスカル 1951年10月 鹿児島県いちき串木野市
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル